本日は、『放棄、限定承認他の注意点』について、お話させていただきます。

1 財産を処分すると放棄や限定承認は出来なくなります。

相続財産の全部または一部を処分してしまうと、相続放棄や限定承認をすることはできなくなります。

これは、財産の全部または一部を処分することにより、単純承認したものとみなされるからです。

単純承認とは、相続人が、被相続人の(一身専属的な権利を除く)一切の権利義務を包括的に承継することをいいます。

ただし、経済的重要性を欠いた形見分けや社会的にみて相当な範囲内の葬儀費用の相続財産からの支払い等は、一般には処分にあたらないと解されています。

仏壇や墓石購入のために被相続人の預金を解約することは『相続財産の処分』にあたるとは断定できないとした裁判例があります。

【大阪高裁平成14年7月3被判決】


2 相続債務の弁済は単純承認?

被相続人の死亡後に銀行の自動引き落としがされている場合には,すぐに手続きを取って支払いをとめれば、気付かないうちに引き落とされた分があっても『処分』とはみなされないことがあります。

相続債務を弁済することは、単純承認事由となるとする説と、相続財産全体からは現状維持となるので、『保存行為』として許されるという説が対立していますので、放棄を考えている時は、弁済をしないでおく方が安全です。

生命保険金の受領は、相続ではないので、生命保険金で被相続人の債務の一部を弁済したとしても、相続財産の処分にあたらないとした裁判例があります。

3 相続放棄後に相続財産の全部または一部を隠匿・費消すると単純承認と扱われます。

相続放棄や限定承認後に、相続財産の全部または一部を隠匿したり、費消したり、悪意で財産目録に載せなかったりすると、単純承認として扱われます。

この場合の隠匿とは、被相続人の債権者等の利害関係人に損害を与えるおそれがあることを認識して、相続財産の全部または一部の所在を不明にするようなことをいいます。

新品同様の洋服や毛皮を含む被相続人の遺品のほとんどすべてを持ち帰る行為は、相続財産の隠匿にあたるとされた事例があります。


以上、『放棄、限定承認他の注意点』について、お話させていただきました。


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Posted by 荒木財産FP at 13:20│Comments(0)相続ミニ知識
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