PR
2014年10月16日
備えあれば憂いなし・・・特別受益①・・・
本日は、『特別受益①』について、お話させていただきます。
1.特別受益の意義
①特別受益の意義
民法は、共同相続人間の平等を図るため、相続人に対して遺贈及び一定の生前贈与といった財産分与と見られるものがなされている場合に、その遺贈等を『特別受益』と呼び、これを遺産分割時に精算する規定を設けています。
すなわち、遺産分割に際し、相続財産に特別受益である生前贈与を加えたもの(遺贈は相続財産に含まれているので加算する必要はない)を相続財産とみなし(みなし相続財産)、これを基礎として各相続人の相続分(一定の相続分)を算定し、特別受益を受けた者については、この一定の相続分から特別受益分を控除し、その残額をもってその特別受益者が現実に受くべき相続分(具体的相続分)とするとしています。
このように、特別受益を相続分算定の基礎に算入する計算上の扱いを、『持戻し』と称していますが、特別受益の付与は相続分の前渡しの趣旨で行われることが多く、したがって持戻しをすることが一般的には被相続人の意思に推測されることもこの制度の根拠とされています。
②超過収益
特別受益が『一応の相続分』を超過する場合については、超過分を返還する必要はなく、ただその相続において新たに財産を取得することはできないとされています。
このようにすることが、多額の財産を与えた被相続人の意思解釈に合致するとともに、超過分につき返還すべきであると、特別受益者に不測の損害を与え、かつ法律関係を徒に煩雑にするからです。
ただし、超過特別受益が他の相続人の遺留分を侵害するときは、その限度で遺留分減殺請求の対象となります。
ところで、超過特別受益者がいる場合に、超過特別受益者を除く相続人間ではどのように相続分を算定するか、逆にいえば超過受益によって減少する分をどのように分担するかにつきましては、大別すれば、①超過受益者は不存在とみなして他の相続人間で改めて相続分の算定をすべしとする見解の判例と②超過受益者を除き、他の相続人間で全相続人の相続分の割合で相続分の算定をすべしとする見解の判例があり、①と②で対立しています。
例えば、相続財産が6000万円、相続人は妻甲と嫡出子乙丙丁の4名で、乙は1800万円の生前贈与を受けており、丁は1200万円の遺贈を受けているとします。
この場合、みなし相続財産は相続財産6000万円に1800万円の生前贈与を受けた7800万円となり、一応の相続分は甲が3900万円、丙丁は各1500万円となり、丁についてはここから1200万円の遺贈を控除した残額300万円が具体的相続分となります。
これに対し、②の計算方法によれば(細かく言えばこの中でも3種の計算方法がありますが、ここでは代表的な見解に従います)、当初の計算による甲、丙、丁の具体的相続分、すなわち、甲3900万円、丙1300万円、丁100万円の比率によって、1200万円の遺贈を控除した現実の相続財産4800万円を分配することになり、その結果各自の具体的相続分は、甲が3532万755円、丙が1177万3585円、丁が90万5660円ということになります。
③持戻免除の意思表示
被相続人が、持ち戻しをしなくてよいといういわゆる持戻免除の意思表示をした場合には、持戻しをしなくてもかまわないとされています。
持戻制度は、前記の通り、持戻しをすることが被相続人の通常の意思にも適うということがその根拠とされているからです。
遺贈についての持戻免除の意思表示は遺贈が要式行為である関係から遺言によってなされる必要がありますが、生前贈与についての持戻免除の意思表意は、特別の方式は必要ありません。
贈与と同時でなくてもよく、また明示たると黙示たるとを問わないと解されています。
したがって、生前贈与による特別受益者としましては、持戻しを始める前に、持戻免除の意思表示があったと解し得ないかどうかを一応検討しておく必要があります。
例えば、共同相続人の一人に贈与がなされているにもかかわらず、この贈与に言及することになく遺言で相続分の指定をしているような場合には、持戻免除の意思表示を認めることができるものとした判例があります。
なお、持戻しを免除された特別受益が他の相続人の遺留分を侵害している場合につきましては、持戻免除の意思表示は当然に無効となると解する見解もありますが、多数説は、単に遺留分減殺請求権を与えるにとどまると解しています。
以上、『特別受益①』について、お話させていただきました。
荒木不動産コンサルティングFP事務所は、相続対策やライフプランの作成、生命保険の見直し、住宅取得や住宅ローン等のご相談の他、土地活用や不動産売却等の不動産コンサルティングのご相談も承っております。
ご相談希望のかたは、まずは、メールか電話でご連絡ください。
初回は、無料で、ご相談内容の概要をお聞かせいただきます。
無料相談後に、その後のご相談内容やご提案内容、お見積金額についてお話させていただきます。
その業務内容とお見積金額でご検討いただき、ご納得いただけましたら業務委託契約書を締結させていただきます。
業務委託契約後締結前に、費用は発生しませんので、ご安心ください。
相続支援業務につきましては、『相続支援ネット』に所属し『つくばエリア』を担当しています。
『相続支援ネット』とは相続の各専門家(税理士、司法書士、弁護士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、建築士)とコワーク(協働)を組み、お客様が的確な相続を実現するためのアドバイスと支援をご提供する相続専門家集団です。
また、不動産の売買や不動産活用につきましては、船井財産コンサルタンツ東京銀座在職中に培った財産コンサルタントの経験を活かしながら不動産コンサルティングマスターとしてお客様重視の提案や対策実行をさせていただいております。
なお、生命保険コンサルティングにつきましては、『FPアソシエツ&ファイナンシャルサービシーズ』に生命保険募集人として所属しています。
『FPアソシエツ&ファイナンシャルサービーシーズ』は、FPとしての視点で、事業承継継対策や財務体質改善、相続対策、ライフプランにおける保険の見直し等、あらゆる問題解決のための保険活用のご提案をさせていただいております。
そのFPの視点の経験を活かした生命保険活用のコンサルティングをご提供させていただきます。
そして住宅取得につきましては、三菱地所ホーム㈱での20年間に及ぶ住宅営業の経験とFPの知識を活かして、土地探しから建設会社の選定、間取りやお見積りの内容の相談、さらには家計チェックに基づく新規住宅ローンやアパートローン並びにその借換えのご相談まで承っております。
電話:029-851-6334 メール:info@arakifp.com HP:http://www.arakifp.com/(相続支援あらき)
1.特別受益の意義
①特別受益の意義
民法は、共同相続人間の平等を図るため、相続人に対して遺贈及び一定の生前贈与といった財産分与と見られるものがなされている場合に、その遺贈等を『特別受益』と呼び、これを遺産分割時に精算する規定を設けています。
すなわち、遺産分割に際し、相続財産に特別受益である生前贈与を加えたもの(遺贈は相続財産に含まれているので加算する必要はない)を相続財産とみなし(みなし相続財産)、これを基礎として各相続人の相続分(一定の相続分)を算定し、特別受益を受けた者については、この一定の相続分から特別受益分を控除し、その残額をもってその特別受益者が現実に受くべき相続分(具体的相続分)とするとしています。
このように、特別受益を相続分算定の基礎に算入する計算上の扱いを、『持戻し』と称していますが、特別受益の付与は相続分の前渡しの趣旨で行われることが多く、したがって持戻しをすることが一般的には被相続人の意思に推測されることもこの制度の根拠とされています。
②超過収益
特別受益が『一応の相続分』を超過する場合については、超過分を返還する必要はなく、ただその相続において新たに財産を取得することはできないとされています。
このようにすることが、多額の財産を与えた被相続人の意思解釈に合致するとともに、超過分につき返還すべきであると、特別受益者に不測の損害を与え、かつ法律関係を徒に煩雑にするからです。
ただし、超過特別受益が他の相続人の遺留分を侵害するときは、その限度で遺留分減殺請求の対象となります。
ところで、超過特別受益者がいる場合に、超過特別受益者を除く相続人間ではどのように相続分を算定するか、逆にいえば超過受益によって減少する分をどのように分担するかにつきましては、大別すれば、①超過受益者は不存在とみなして他の相続人間で改めて相続分の算定をすべしとする見解の判例と②超過受益者を除き、他の相続人間で全相続人の相続分の割合で相続分の算定をすべしとする見解の判例があり、①と②で対立しています。
例えば、相続財産が6000万円、相続人は妻甲と嫡出子乙丙丁の4名で、乙は1800万円の生前贈与を受けており、丁は1200万円の遺贈を受けているとします。
この場合、みなし相続財産は相続財産6000万円に1800万円の生前贈与を受けた7800万円となり、一応の相続分は甲が3900万円、丙丁は各1500万円となり、丁についてはここから1200万円の遺贈を控除した残額300万円が具体的相続分となります。
これに対し、②の計算方法によれば(細かく言えばこの中でも3種の計算方法がありますが、ここでは代表的な見解に従います)、当初の計算による甲、丙、丁の具体的相続分、すなわち、甲3900万円、丙1300万円、丁100万円の比率によって、1200万円の遺贈を控除した現実の相続財産4800万円を分配することになり、その結果各自の具体的相続分は、甲が3532万755円、丙が1177万3585円、丁が90万5660円ということになります。
③持戻免除の意思表示
被相続人が、持ち戻しをしなくてよいといういわゆる持戻免除の意思表示をした場合には、持戻しをしなくてもかまわないとされています。
持戻制度は、前記の通り、持戻しをすることが被相続人の通常の意思にも適うということがその根拠とされているからです。
遺贈についての持戻免除の意思表示は遺贈が要式行為である関係から遺言によってなされる必要がありますが、生前贈与についての持戻免除の意思表意は、特別の方式は必要ありません。
贈与と同時でなくてもよく、また明示たると黙示たるとを問わないと解されています。
したがって、生前贈与による特別受益者としましては、持戻しを始める前に、持戻免除の意思表示があったと解し得ないかどうかを一応検討しておく必要があります。
例えば、共同相続人の一人に贈与がなされているにもかかわらず、この贈与に言及することになく遺言で相続分の指定をしているような場合には、持戻免除の意思表示を認めることができるものとした判例があります。
なお、持戻しを免除された特別受益が他の相続人の遺留分を侵害している場合につきましては、持戻免除の意思表示は当然に無効となると解する見解もありますが、多数説は、単に遺留分減殺請求権を与えるにとどまると解しています。
以上、『特別受益①』について、お話させていただきました。
荒木不動産コンサルティングFP事務所は、相続対策やライフプランの作成、生命保険の見直し、住宅取得や住宅ローン等のご相談の他、土地活用や不動産売却等の不動産コンサルティングのご相談も承っております。
ご相談希望のかたは、まずは、メールか電話でご連絡ください。
初回は、無料で、ご相談内容の概要をお聞かせいただきます。
無料相談後に、その後のご相談内容やご提案内容、お見積金額についてお話させていただきます。
その業務内容とお見積金額でご検討いただき、ご納得いただけましたら業務委託契約書を締結させていただきます。
業務委託契約後締結前に、費用は発生しませんので、ご安心ください。
相続支援業務につきましては、『相続支援ネット』に所属し『つくばエリア』を担当しています。
『相続支援ネット』とは相続の各専門家(税理士、司法書士、弁護士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、建築士)とコワーク(協働)を組み、お客様が的確な相続を実現するためのアドバイスと支援をご提供する相続専門家集団です。
また、不動産の売買や不動産活用につきましては、船井財産コンサルタンツ東京銀座在職中に培った財産コンサルタントの経験を活かしながら不動産コンサルティングマスターとしてお客様重視の提案や対策実行をさせていただいております。
なお、生命保険コンサルティングにつきましては、『FPアソシエツ&ファイナンシャルサービシーズ』に生命保険募集人として所属しています。
『FPアソシエツ&ファイナンシャルサービーシーズ』は、FPとしての視点で、事業承継継対策や財務体質改善、相続対策、ライフプランにおける保険の見直し等、あらゆる問題解決のための保険活用のご提案をさせていただいております。
そのFPの視点の経験を活かした生命保険活用のコンサルティングをご提供させていただきます。
そして住宅取得につきましては、三菱地所ホーム㈱での20年間に及ぶ住宅営業の経験とFPの知識を活かして、土地探しから建設会社の選定、間取りやお見積りの内容の相談、さらには家計チェックに基づく新規住宅ローンやアパートローン並びにその借換えのご相談まで承っております。
電話:029-851-6334 メール:info@arakifp.com HP:http://www.arakifp.com/(相続支援あらき)